フランス代表の教訓
日本代表がフランス代表に勝ったという驚きより
あのフランス代表が日本代表に負けたという驚きの方が強い。
正直、まだまだ力の差は歴然である。
1対1ではほとんど勝てていなかった。
こちらから仕掛ける分には力のある選手はいるが
酒井と清武の間を強引に突破していったリベリーのドリブルが象徴しているように
こういった仕掛けられた時のディフェンスが淡白すぎるきがする。
私もチームでは1対1については日頃からこだわりをもってやっているが、
個の技術と言う意味でディフェンスについてももっと強く意識させないと
いけないと感じた。
質はともかく親善試合とは言え、以前のアルゼンチン代表との試合しかりで
世界の強豪を相手に勝てるようになった事は事実である。
そこに関しては素直に評価したいし、一人のサッカーファンとしては喜びたい。
ただ、単純に日本が強くなったから勝てたと言えないのは
試合を見ていればあきらか。
今回の勝利に関して言えば、日本が世界に近づいた割合よりもフランスが弱くなった
事の方が要因として大きいと思う。
かつてはジダンを擁し世界を制した強豪がここ数年低迷し
ついに日本代表にまで不覚を許すほどに至ったと…。
前日あるテレビ番組で日本とフランスの対戦をとりあげ、フランスがなぜ
低迷しているのかを、栄華を誇った世代の元フランス代表の選手が語っていた。
簡単に言えば‘世代交代の失敗’
これこそが大きな原因と言っていた。
特にフランス代表としての誇りと威信を受け継げていないと…。
ジダンが活躍し勝ち続ける中で、いつしかフランス代表は勝つ事を義務付けられ
その中で長期にわたりジダンに依存し続け、それに関わる選手達が代表のジャージを
着続ける事になった。
この状況の中で若手が経験し育つチャンスはどんどん失われ
次世代を担う選手が育たなかったのである。
ジダンが引退し低迷する中で、世界有数の育成力を誇ったフランスの育成機関も
その場の結果を求めるあまりアスリート系の選手ばかりを集めるようになったらしい。
パワー、スピードなどその世代で身体能力の高い選手を集めれば結果は出やすくなる。
また、そういう選手はさほど上手くなくても、その時点でのパワーとスピードだけで
活躍できてしまう部分があり、それだけで俺はすごいと勘違いすれば努力を怠る事も
あるだろう。そんな中でメンタルの強い選手が育たなくなっていったとも語っていた。
更に問題はその選手が一生を通じてパワーとスピードで一番なのかどうかである。
本当に潜在能力で運動能力が高いならば最後まで伸び続ける可能性もあるが
人よりも成長が早いだけだった選手はやがて大きな挫折を味わう事になる。
その時にメンタルが弱ければサッカーを続ける事さえおぼつかなくなるだろう。
手塩にかけ経験をさせて育てた選手が途中でやめてしまう事が多くなれば
文化も経験も受け継がれなくなり薄れるのは道理である。
フランス代表は頂点に君臨し続けたために、勝ち負け、結果の魔力よって
狂わされたのである。
それほどまでにこの魔力は強大である。
この問題は私達のように個の育成を重んじるチームの間では周知の事である。
何を優先すべきか。
エスプリの関係者でも共通の認識でありチームの根幹である。
育成に関わる多くの指導者が私達に伝えてくれた部分であり
私もこの番組を見ながら改めて再確認できた。
今はそれに気づき、デシャン監督のもとでかつての威信をとりもですために厳しく
やっていると結び番組は終了したが、結局は日本に不覚をとってしまった。
フランス代表がいろいろな選手を試しながら進めた試合であったとはいえ、
それを理解しないサポーターも多いと思う。
一度は大きな成功を収めているとはいえ、崩れたものを建てなおすのは容易なことではない。
当然の事ながら日本も他人ごとではいられない。
現代表がいかに活躍しようとも、次世代が育たなければフランスの二の舞に
なる可能性はあるのだ。
私も指導にあたり次世代を担う選手を育てている事をどんな時も忘れてはいけないと思った。
その場の勝利を目指しながらも、彼らの将来も見据え、勝ち方や負け方にもこだわりが必要。
最後はきれい事になったかもしれないが
感じるものが大きく、思わず大層な事を書いてしまった。
お許しを^^;
多くの事を気づかせていただいている、親しくしていただいている熱い指導者の皆さま、
チーフスタッフ、選手、保護者に感謝しつつ、信念を忘れずに指導にあたりたい。
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2012.10.13 | Comments(0) | Trackback(0) | 独り言